日本最大級のリーチを誇るプロゲーミングストリーマー集団「父ノ背中」において、社会人との二足のわらじで活動を続けるFOX RABBITさんにインタビュー。父ノ背中加入前から大会で成績を残してきたFOX RABBITさんはどのようにゲームと接してきたのか、また動画はどのような位置づけなのか、気になる質問をぶつけてみた。

FPSを始めるきっかけはバトルフィールド3だと語る

―― まずはプレイヤーネームの由来から教えてください。

FOX RABBIT:見ての通りきつねとうさぎという意味ですけど、両方とも自分が似ていると言われたことのある動物なんです。きつねと言われたのは立ち回りのずる賢さとか、プレイの方向性から言われたもので、うさぎというのは子供のころ目が弱かったからです。もうかれこれ、9年くらい使っていて、今では慣れ親しんだ名前ですね。

―― これまではどんなゲームに触れて育ってきたのですか?

FOX RABBIT:父がゲーム好きで、ファミコンやスーパーファミコン、Nintendo 64といったハードは一通りありました。僕も任天堂のゲーム、『マリオ』や『カービィ』を遊んでいました。その後もPS2やPS4といったゲーム機を渡り歩いて、RPGなどを中心にプレイしてきましたね。FPSに入ったのは19歳くらいのときで、『バトルフィールド3』だったのを覚えています。

――『バトルフィールド3』のときは、なぜFPSをプレイしてみようと考えたのですか?

FOX RABBIT:それ以前からジャンル自体はずっと知っていて、いつかはやってみたいと思っていたんです。ただPS3だった当時はオンラインでの対戦ゲーム自体がまだまだ下火で、発展していなかったんですよね。なにか良いきっかけはないかなと思っていたら、ニコニコ動画に『バトルフィールド3』の動画があって、面白そうだと思ってプレイすることになりました。

―― PCでゲームを始めたのはいつごろですか?

FOX RABBIT:それも『バトルフィールド3』のときからです。「FPSをやるならPCで」という考えがあり、目標でもあったので。それまでコンシューマで育ってきたので、半年くらいはマウスとキーボードの操作に慣れませんでしたね。でもFPSの操作感覚自体が他とは違うので、拒否感もあまりありませんでした。

――『レインボーシックスシージ』を始めることになったきっかけについても教えてもらえますか。

FOX RABBIT:『バトルフィールド3』のあとに続編の『バトルフィールド4』もプレイしたのですが、それが肌に合わなくて、他のいろんなゲームに手を出していたんです。『バトルフィールドハードライン』とか、『ファイナルファンタジーXIV』とか。そのときからあびつんをはじめとした今のメンバーとは知り合っていて、てるさんから「5on5のゲームを始めないか」と誘われて、それが『レインボーシックスシージ』でした。

―― プロになるきっかけというのも、他のメンバーとのつながりがあったからなのですか?

FOX RABBIT:僕はプロになると思ってなかったです。1人がやるのが好きというより、チームでやるのが苦手というか、責任も伴いますしね。一番始めに大会に出た理由も、てるさんから「他にメンバーがいないから」とお願いされたからなんですよ。それでお世話になった縁もあって、父ノ背中に入ることにしました。

―― 父ノ背中のメンバーの中で、特にゲームが上手いと思う人は?

FOX RABBIT:カッキーさんは長年やってきた経験もあって、一緒にプレイしていると「FPSって深いな」と思わされますね。最近だとらむも上手いと感じます。若さとセンスがあって、将来はもっと強くなるんだろうなという予感があります。

敵の動きに合わせ作戦を練り上げる父ノ背中きっての頭脳派

―― 自分自身のストロングポイントはどこにあると考えていますか?

FOX RABBIT:他のメンバーに比べてエイムに自信があるとか、立ち回りが上手いとかはないです。長所があるとしたら相手の戦術を理解する力だと思います。試合中に相手の戦い方を理解して、それに対応した戦い方を柔軟に考えられることは、他のメンバーにはない強みです。

―― 柔軟な考え方というのは、実際の戦術面にも反映されているのですか?

FOX RABBIT:そうですね。例えば撃ち合いになった場合、敵味方の双方が注意していない方向から攻撃を仕掛けたり、裏をかくような戦い方は常に意識しています。

―― 試合の中では一対多数のピンチに陥ることもあるかと思います。そんなときはどのように感情をコントロールしますか?

FOX RABBIT:極力無心になるように心がけています。集中力を高めつつ、細かいことは考えない。目の前にいる敵をどうやって倒すかだけに意識を持っていきます。

―― 練習の時間を割くことも多いかと思いますが、一日のタイムスケジュールを教えてもらえますか。

FOX RABBIT:平日はサラリーマンをしていて、夜の7時までは仕事をしています。練習などは晩ごはんや動画の準備をしたあとの22時くらいになります。終わるのは夜中の2時か3時くらいで、明日にはまた仕事というスパンです。休日はゲームの時間が長くするときもありますけど、疲れが溜まっているし、洗濯や買い物もしなければいけないので、なかなか時間を作れないのが現状ですね。

社会人とプロゲーマーの二軸から、一本の道へ

―― サラリーマンとプロゲーマーの両立で苦労することはありませんか。

FOX RABBIT:苦労だらけですし、すでに退職してプロゲーマー一本に絞ることは決まっています。今のところはサラリーマンが本業で、こちらに時間を取られてしまい自分の自由な時間を作れませんでしたから。だけど今度は「サラリーマンだから」と妥協することは許されなくなり、動画の質を担保しなければいけないですし、大変な道だと思っています。

―― 会社の方はプロゲーマーになることを知っているのですか?

FOX RABBIT:過去にポーランドの大会に招待されてことがあって、そのタイミングでしばらく休むためにプロゲーマーとしての活動を伝えました。上司はプロゲーマーに詳しい世代ではないので驚いていましたけど、快く背中を押してくれましたね。でも、飲み会で「こいつプロゲーマーやぞ」っていじられることも多くて、ちょっと恥ずかしいです(笑)。

―― 今このタイミングで、プロゲーマーで勝負をしようと考えた理由は?

FOX RABBIT:ゲームが好きというのはもちろん、収入の面とかいろいろあります。加えて、僕は今26歳で、なにかに挑戦できる最後のチャンスだと思ったのも大きいです。やりたいことがあるなら今しかない、万が一失敗してもやり直せる最後のタイミングかなと。自分がプロゲーマーの世界でどれだけやれるのか、試してみたかったんです。

―― ゲーム以外に趣味や特技はなにかありますか?

FOX RABBIT:最近料理を覚えました。最初はお米を炊くことから入って…以前からお米は炊けたんですけど、1.5合のお米に2合分の水を入れちゃったりしてて(笑)。それからいろいろ覚えて、今後は手の込んだ料理にも挑戦してみたいですね。料理に限らず仕事を辞めたらやりたいと思ってることはたくさんありますし、動画のネタにもしていきたいと思っています。

―― ストリーマーとしてのこだわりについても教えてください。

FOX RABBIT:けんきとかは自分が喋る内容でエンターテイメント性を強めようとしていると思うんです。トークはもちろんリアクションとかも研究して、それを実践しているじゃないですか。僕の場合は時間がないこともあって、生放送の中で良いプレイがあったシーンをまとめて見せているんですけど、けんきほど話が面白いわけじゃない。だからこそ編集にこだわって、映像のつなぎ方はもちろん音楽、文字のフォントにはすごく気を使っています。

―― 動画内で自分自身のキャラクターは、どのように見られていると感じますか?

FOX RABBIT:動画でも自然体というか、「こう見られたい」と意識すること自体ないです。その中で多くの人が親しんでくれることだけは意識していて、ちょっと過激な発言をしてしまったら徹底的に削除してから動画をアップします。ファンからの反響はやっぱり大事ですし、コメントを見ていると「これは見づらい」といった意見も多いです。すべてを鵜呑みにするわけにもいかないですけど、好まれる傾向は気にしてますし、動画に反映させています。

―― ライブストリームも積極的に行っていますが、あらかじめ撮影した動画より生配信のほうが好きなんですか?

FOX RABBIT:そうですね。それもまた自然体な自分を出せるからで、良いシーンを抜き出した動画だと格好良くなっちゃうんですよ。生配信なら失敗したり、言ってしまえば格好悪い、ナチュラルな一面も見てもらえるんですよね。

―― プロとアマチュアの間で違いを感じることはありますか?

FOX RABBIT:プロとしての誇りというか、自覚がないとプロに離れないと思うんです。プロと名乗るからにはSNSや配信中の言動にも気を使わなければいけませんし、それがないといつまで経ってもアマチュアです。最近はプロゲーマーが増えすぎて、「こいつ本当にプロか?」と思わされる人も正直います。考えが古いと言われても、僕は相当な覚悟と自覚を持って名乗るべきものだと思います。

―― 今後の目標があれば教えてください。

FOX RABBIT:とりあえず僕は仕事を辞めてプロゲーマーになるので、1年後も食っていけてるのが大前提です(笑)。その上で『シージ』でも、別のゲームでもいいので、一緒に盛り上がっていけるような存在になっていたいです。将来的に年を取り、反射神経が鈍ったとしても、ゲームは続けていたいです。RPGとかなんでもいいのでゲームをして、それをもとに生活したいですね。

プロゲーマーとして一本の道を辿り始め、今後の活躍に期待が募る

動画では自然体を意識しているというFOX RABBITさんは、インタビュー中も常にフランクで、なおかつ社会人としての落ち着きも持った印象だった。プロに対する熱い考えは父ノ背中のどのメンバーにも負けないだろう。その熱さがあれば、父ノ背中の中心的存在になる日も遠くないだろう。

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