日本最大級のリーチを誇るプロゲーミングストリーマー集団「父ノ背中」に創設メンバーの一人で、数々の大会で実力を発揮するBEESUNにインタビュー。クールな一面の裏に隠された、ゲーム、そして大会に対する熱い想いを聞いた。

「父ノ背中」創設メンバーの一人でもあるBEESUN

――BEESUNというプレイヤーネームの由来から教えてもらえますか。

BEESUN:由来といっても特になくて、活動を始めた5年くらい前はビーサンとカタカナで書いていたんですけど、ポーランドの大会に出る際、現地のキャスターの方が読みやすいように英語表記でBEESUNにしたんです。

――Twitterではコアラのアイコンを使っていますが、あれにはなにか理由があるのですか?

BEESUN:うちのチームのメンバーはみんなキャラクターが立っていて、僕だけが普通のツイートしかしてなかったんです。なにかキャラクター付けしたいなと思っていたら、ナマケモノとコアラの二択になって、「じゃあコアラでいいか」と(笑)。

――普段は『レインボーシックスシージ』をプレイされていますが、得意な戦術などはありますか?

BEESUN:基本的に大会での活躍を目指してプレイしていて、チーム内ではアタッカー、サポート、フレックスという役割でチームを分けています。僕はその中でサポートを主に任されています。サポートの仕事は安定してKDを得ることで、それはチーム内からも常に試されていることだと感じています。だから意識していることとしては、1on1のときなどに死なないようにする、確実に相手を倒せるようにすることです。

メンバーは、自分と変わらない考えのもと行動してくれる信頼感があると語る

――今までで印象に残っている試合や大会はありますか?

BEESUN:印象に残っているのはやはり初めて優勝したとき…いや、好成績を収めた大会は、最後に負けたケースも含めてどれも印象に残っています。

――父ノ背中に入ったきっかけについても教えてください。

BEESUN:僕は創設メンバー5人の中の1人で、入ったというより最初からいたという感覚ですね。父ノ背中は学校長というクランとHOMEというクランが合併する形で誕生したチームで、僕は当時学校長に所属していました。でもHOMEはマルチゲーミングクランであり、そっちにも僕はいたんです。だから僕個人としては、2つのクランが1つになってもまったく違和感はありませんでした。

――創設メンバーとして父ノ背中に関わってきて、変化を感じた部分は?

BEESUN:最初のころは今までやってきたことの延長線上でしかなかったんですけど、最近は少しずつチームとしてのリーチが伸びてきたことで、みんなの生活が安定してきたなとは感じます。ゲームをプレイするやり方は変わらなくても、1人の社会人として独立できるようになったメンバーは多いですね。

――ご自身にはなにか変化はありましたか?

BEESUN:意識の変化はありますよ。25歳になって、自分の人生設計をしっかり考えなければとか、引っ越しをしなきゃとか、いろいろと考えるようになりました。ちょうど同じ年代のメンバーも多くて、結婚や同棲をする人も増えてきたのも大きいですね。

――特に仲の良いメンバーというと誰ですか?

BEESUN:創設メンバーとはみんな仲が良いですけど、特にという意味ではあびつんとはよく一緒にゲームする関係ですね。他のメンバーは僕以上に不規則なリズムで生活をしているんで、なかなか一緒の時間を作れないんですよね(笑)。

――では、特にゲームの腕前が優れていると思う人は?

BEESUN:今の大会メンバーは全員優れていると思いますよ。というのも、大会で同じチームを組むということは、同じ目標に向かって、同じように歩んでいかなければいけません。そのためには、考えていることも同じである必要があります。僕と変わらない考えのもと行動してくれるという意味でも、大会のメンバーは大切な存在です。

――『シージ』に出会う前はどんなゲームに触れてきましたか?

BEESUN:子供のころは『大乱闘スマッシュブラザーズ』とか『星のカービィ』とかを遊んで、中学生のころには『モンスターハンター』と、一般的に人気のゲームで育ってきました。特に好きだったのは『ロックマンエグゼ』シリーズで、1から6まで全部持ってて、めっちゃ遊んでました。だけど子供のころにゲームにハマったのはそれくらいで、高校生のときにFPSに出会い、そこからガッツリゲームと接するようになりました。

――1日のスケジュール感についても教えてもらえますか。

BEESUN:起床するのは10時くらい、1時間ほど動画の面倒を見ます。自分で編集したり、編集班に動画を渡したり、あるいは企画ものの動画を撮影しに行ったりといった作業ですね。これが終わったら12時くらいから配信を始めます。18時から19時あたりに配信が終わったら、21時から『シージ』の練習に入ります。その後深夜の0時からはまた配信を始めますね。

――そのスケジュールは毎日キッチリ決めているのですか?

BEESUN:決めているというより、体力の限界までゲームすると大体こんな感じになるというだけです(笑)。深夜の0時から配信を始めても3時には疲れてしまいますし、仮に早い時間に終わっても、余った時間で他の動画を見て研究したりするので、結局時間の使い方は同じです。

腕前だけではプロとアマを分けるのは難しい

――練習をするときは、具体的な目標を定めるのですか?

BEESUN:基本的に反省点をスプレットシートにまとめて、チームのメンバーがいつでも確認できるようにしています。それを見て、昨日できなかったことが今日はできるかを試していく流れがあります。それはあくまでもチーム練習のもので、個人練習の際はもう1キル取れるか、1ラウンド取れるかといった漠然とした目標のもと行動しています。

――配信や練習を通して1日中ゲームをプレイされていますが、その間の食生活も気になります。

BEESUN:食生活はだいぶ崩壊していて、1日1食の日もよくあります。ゲームばかりしているので、お昼ご飯を食べるとしても冷凍のパスタくらいですかね。

――国内外のさまざまなチームを見渡すと、ゲーミングハウスに住み込みで練習するケースも見受けられます。

BEESUN:僕個人の考えとしては、日本人とゲーミングハウスの相性は決して良くないと思います。ゲームで生活をしている日本人はフリーターだったり、学生でも単位がままならなかったり、僕以上に生活習慣が整っていないのが実情です。海外の強豪チームのように料理人がいて、トレーナーがいるというレベルじゃないと難しいですよね。加えて、うちのチームの場合はメンバーそれぞれがお金を稼いでいるし、時間もある程度自由に取れるので、そもそも必要ないと思っています。もしやるなら、今以上の資金を手に入れたときくらいですかね。

――海外でも多くの大会に出場されていますが、どんな思いを抱いていますか?

BEESUN:2017年にポーランドで開催されたESLのときは、まだ『シージ』自体が注目タイトルではなかったんです。その時から僕自身は規模の大きさに驚いていたんですが、今ではそれ以上の盛り上がりになっているという話なので、ぜひ行ってみたいですね。

――大会にはオフラインとオンラインの2種類がありますが、それぞれで違いを感じることは?

BEESUN:『シージ』の場合は音が重要なんですけど、オフラインの大会だと基本的に音が聞こえないんですよ。なので、そういった厳しい環境でも変わらないプレイができるかが鍵を握ります。また大会によっては、普段使っているサウンドカードの持ち込みが不可のケースもあります。資金が潤沢な海外のチームだと、大会の環境と同じPC設計にして練習をすることもあるそうです。

――次回の大会に向けては、どんなところにこだわっていきたいですか?

BEESUN:今ルールが変わり、それに合わせたメタも誕生してきているところです。僕たちのチームとしてはメタをしっかりと把握して、動きを洗練させていきたいです。相手チームのメタもあるし、僕たちが持っているメタもあります。それに新しいルールも加わることで複雑に絡み合ったゲームになっています。それに対する最適解を早く見つけ出したいですね。

――ルールが変わることにとるメリット、デメリットを感じることは?

BEESUN:やりやすいこともやりにくいこともある、というのが正直なところです。結局は相手の動き次第で状況も変わってきます。特に分かりやすいのがオペレーターの「ピック&バン」で、僕らのチームはなにをバンされても対応する自身はありますが、相手によってはバンされると厳しくなるケースもあります。そうなれば当然戦い方も変わりますし、それを察知するための読み合いも生まれます。

――大会に向けての準備で、なにか特別なことはしますか?

BEESUN:大会のメンバーは固定ではなく、時期によって入れ替わるんですよね。人によっては学校だったり就活だったりがありますから。普段の練習はできていても、大会メンバーに限定した練習はなかなかできていない中で、どれだけの成績を収められるかを考える必要があります。また、短い時間でも上達する質の高い練習、個人技でカバーする練習なども大切です。

――具体的に、どんな練習をするのでしょう。

BEESUN:基本は普段の練習と変わらずクラン戦をやるだけですけど、その内容は少し変わってきます。マッチングごとにさまざまな作戦や組み立てを試して、ありとあらゆる可能性を模索します。負けるかもしれないけど、あえて続けてみたり、第二、第三のパターンを見つける努力はしますね。

――プロとアマの違いはどこにあると思いますか?

BEESUN:FPSって、続けていればすぐに上手くなれるんです。日本の場合は幼少期からプレイしている人は少なく、その分大学生から始めても充分戦えるレベルになります。その意味で言えば、腕前でプロとアマを分けるのは難しいです。違いがあるとすれば、途中で投げ出さないことですね。父ノ背中であれば、途中で投げ出すことや無責任な行動は許されないことです。僕自身はそこまで厳しいことは言わなくても、他のメンバーだと遅刻や欠勤に対してもかなり怒ることがありますし。

――日本でのesportsの盛り上がりについて、なにか感じることはありますか?

BEESUN:盛り上がっていると言っても、esportsで食べていける状況にはなっていないので、その段階で選手を目指す人が少なくなってしまいますよね。ゲームを楽しむだけなら結構いるんですけど、もう一段上に行くためにはみんなの憧れになる、スター選手が誕生しないと難しいと思います。あとはゲーム自体が歓待されていない風潮が未だに根強いのも気になります。「ゲームで生きていくこともできるんだ」という意識が一般的に根付かないといけません。僕の配信も精々数千人程度の視聴者で、100万人を集める海外のストリーマーと比べるとまだまだです。僕もそういった存在に成長していくことを考えなければいけないと思います。

――今後の目標や、夢があれば教えてください。

BEESUN:今後3年くらいの出場大会は決まっているので、まずはそのどれかでチャンピオンリングを取りたいです。これはチーム全体としての目標であり、僕個人としても目指す目標として定めています。

個人としてもチームとしても成長していくことを意識する

実力は誰もが認めるところだが、その評判に驕ることなく、実直にゲームと向き合っていることが垣間見えた。インタビューの中でも語っている通り、今後も大会に積極的に参加していくという。さらなる高みへ昇る姿も、そう遠くない未来に見せてくれるだろう。

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